mtbtaizo2007-09-24

2007年9月23日 18:45、渋谷 シアターイメージフォーラムで「トランシルヴァニア」を観てきた。
渋谷駅から宮益坂方面を上り、ジョナサンの方へ道を渡り、そのまま道沿いに100mほど進んで右折。
コンクリート打ち出しのビル、そこがシアターイメージフォーラム


整理券の番号は3番。
到着したのが18:20だったので、まさか席がなかったらどうしようなんて思っていたけど、杞憂だった。
客席は60くらいだろうか、観客は全部で8人。まぁ、広々見れていいや。


トニー・ガトリフ監督の作品を映画館で見るのは初めてだ。深夜に放送していた「ガッジョディーロ」をたまため見たのが初めてだ。4AMまで見入ってしまった。そして、翌朝、録画したビデオを、その当時、付き合ってた彼女に貸したのだ。彼女の反応はいまいちだったっけど、僕はジプシー(ロマ民族)のエキゾチックな女性と情熱的な音楽にイチコロだった。
このロマの音楽は、音楽的に言うと、どういうくくりになるんだろう。例えば、短調?何ビート?って言うんだろう。
何にしろ、ヴァイオリンや管楽器を使ったこのテンポの速い音楽には心踊る。でも、サンバのようにハッピーなだけでなく、心をかき乱すような調べも併せ持つ。不思議な音楽だ。今回の作品中も、ロマ民族の生活同様、常に音楽が側にある。


今回もヒロインの女性を楽しみに出かけた。敢えて事前情報は何も入手していない。開始して5分、今回のヒロインにはがっかりだ!!フランスからトランシルヴァニアへロマの男を追いかけ来た、妊娠2ヶ月の女性。黒髪でセクシーなのだが、どうも今までのヒロインのように美しくない。すべの指に指輪をし、どぎついアイライン、逃げた男への怒りなのか表情も暗く怖い。悪魔に取り付かれてるかのよう。


でも、これは全てラストシーンへの前振りなのだ。ラストシーンの彼女はマリアのように美しい。


監督は、自分のルーツであるロマ民族の文化を背景にラブストーリーを描いている。ストーリーだけを抜き出せば、トリックやハプニングがあるわけでもなく、いたってシンプルだ。この作品をニューヨークを舞台には描けないだろう。僕の好きな「恋人たちの予感」、「恋愛小説家」やウディアレンの作品などなど挙げればきりが無いが、ハリウッドのラブストーリーにはステキでウィットに富んだ会話は欠かせない。


この「トランシルヴァニア」では圧倒的に会話が少ないのだ。二人はお互いのルーツを語らないし、愛も語らない。
「美味しい」と言う言葉を使わずに料理の味を伝えるようなものだ。まさに、I love youのないラブストーリー。僕は大好きです。